2016年秋、改憲勢力が衆参両院で3分の2の議席を得たので、私は安倍首相に「課題である憲法改正はしないのか」と問うた。
すると、安倍首相は「大きな声では言えないが、実は憲法改正をする必要がなくなった」のだと答えた。
「集団的自衛権の行使を認めるまで、米国は日米関係が持続できないと、ヤイノヤイノとうるさかった。だが、それを認めたら、米国は満足して何も言わなくなった。だから憲法改正の必要はない」
これで岡崎、北岡、石破らの目標は達成されたのだ、と捉えていた。
それにしても、トランプ大統領になってから、米国が要求する、防衛官僚も困惑を示す高額兵器の大量買いが相次ぎ、しかも「いずも」型護衛艦の事実上の空母化についても、政府からは、国民が納得できる何の説明もない。これでは対米従属化の果てしない延長ではないのか。
しかも、安倍内閣はこのところ、いずれの国会でも審議時間が極端に短く、強行採決の連続である。どうせ野党になど権力奪取の野心も意欲もないのだと馬鹿にしきって、しかも自民党議員たちはほとんどが安倍首相のイエスマンで、反駁や異論も出ない。安倍首相は意のままにふるまえる。森友・加計問題など、安倍首相の神経が緩みすぎていることは明らかだが、それでいて日本では抗議のデモもほとんど起きない。どうなっているのだろうか、一体。
※週刊朝日 2019年1月25日号