日本の製造業の強みは“高品質”だったはずである。品質の高さが世界で評価されたからこそ、成長し続けられたのだ。しかし、不正は信頼を損ねる行為である。

 いつからこんな不正が起き始めたのか。1990年代にバブル経済がはじけて景気が悪くなり、製品の価格を下げざるを得なくなった。しかし、品質を下げたとは言えず、品質を維持していると見せかけるために不正をしてしまっているのではないか。

 かつて、評論家の山本七平氏が、“日本は空気の国で、日本で一番悪いのは、空気を破ることだ。空気を破ったら生きていけない”と語った。

 これは企業だけではない。選挙制度が変わり、自民党議員たちも空気を破れず、安倍首相のイエスマンになっている。森友・加計問題では、国民の70%以上が“安倍内閣の対応に問題がある”と捉え、自民党議員たちの多くもそう捉えているはずなのに、自民党内からは反発の声がほとんど聞こえてこない。安倍首相の機嫌を損ねるのが怖い、つまり空気を破るのが怖いのだ。これは自民党の劣化ではないのか。

週刊朝日  2018年11月9日号

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