田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
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(イラスト/ウノ・カマキリ)
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 ジャーナリストの田原総一朗氏は、安倍内閣の延長を危惧する。

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 第4次安倍改造内閣がスタートしたが、安倍内閣はこれから3年で終わる。ピリオドが明確な場合は、歴史的に見てレームダックになる確率が高い。中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領は、いずれも任期を撤廃・延長し、世界には任期の延長を図る権力者が少なくない。だが、安倍内閣の延長はありえない。

 レームダック化阻止のための策を懸命に考えている自民党幹部がどれだけいるか。きわめて少ないのではないか、と私は見ている。幹部たちのほとんどが安倍首相のイエスマンになってしまっているからである。

 たとえば、森友・加計疑惑で、国民の7割以上が問題ありだとしている。そして、当然ながら自民党の議員たちも、問題ありだと捉えているはずである。だが、自民党議員からは、問題ありだという声がまるで出てこない。安倍首相のご機嫌を損ねることを何よりも恐れているためだ。とすれば、幹部たちも含めて、この国のために何をすべきか、何をすべきでないのかということを真剣に考えていない、と捉えざるを得ない。

 レームダックに陥らないために、安倍首相が何としてもやるべきは、国民が納得できる新しい経済政策を打ち出すことだ。国民の多くは、アベノミクスは行き詰まりだと感じている。先進国では最悪の借金財政で、しかも日銀は出口戦略らしいものを打ち出せていない。そして、来年10月には、消費税を2%上げることになっている。もしも、来年の参議院選挙までに、国民が納得できる経済政策を打ち出せないと、参院選で自民党が負けるおそれがある。

 野党はチャンスだと捉えているだろう。それに、沖縄の県知事選で自民・公明党が推した佐喜真淳氏を玉城デニー氏が打ち破って、野党は活気づいているはずである。

 安倍首相は、これらを重く感じ、何としても、国民が納得する経済政策を打ち出そうと考えているはずである。そのことに真剣な自民党幹部がどのくらいいるのか。私は、何人もの幹部に確かめているのだが……。

 もう一つ。安倍首相は憲法改正をしたい、と表明している。

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