「リンク税」とも揶揄される第11条は、新聞社や出版社などの報道メディアに新たな権利を与え、ネット上の記事を集約するニュースアグリゲーターからライセンス料を徴収できるようにするというもの。莫大な利益を上げる大手ネット企業から、窮状に陥っている報道メディアに利益を還元させることを狙っている。
ただ、このリンク税は2014年にスペイン、ドイツで実際に導入されたものの、いずれも失敗に終わっている。
リンク税の標的となった「グーグルニュース」が対抗策として両国から撤退したため、報道メディアへのアクセスが激減。特にニュースアグリゲーターにピックアップされることでアクセスを得ていた小規模メディアが大打撃を被った。スペインはリンク税を撤回、ドイツでは権利者が徴収を諦めることになった。
結局、問題の大きかったこの指令改正案は5日の欧州議会本会議で否決され、再検討を余儀なくされた。
ネット上の海賊版対策は重要だが、副作用の大きい対策を強引に進めれば表現の自由や市場競争が侵害される。
このあたりは、日本でも話題のサイトブロッキング問題とも通じる。どこでバランスを取るのか、その議論はまだまだ始まったばかりだ。
※週刊朝日 2018年7月20日号