![春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。JFN系FM全国ネット「サンデーフリッカーズ」毎週日曜朝6時~生放送。メインパーソナリティーで出演中です。「週刊朝日」の連載をまとめた、初エッセイ集『いちのすけのまくら』(朝日新聞出版刊行、1500円+税)が、絶賛発売中です!](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/a/2/412mw/img_a2efd4d93577399e0b959b0d6317a68d90806.jpg)
![春風亭一之輔氏の好評連載「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は…(※写真はイメージ)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/5/4/620mw/img_54b82b45789c51b0bdca966daa455f9080156.jpg)
落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は、「天才」。
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『天才』なんて身の回りにそんなにいない。ましてや、自分が天才なわけないし、なれるとも思わない。40過ぎて今から天才になる……なんてことはないからな。もはや『天才』を見る側として生きていこうと思う。私が中高生の頃。クラスの大半が持っていた『ジーニアス英和辞典』。英語の先生が「買うならジーニアス!」とやたらジーニアス推しだった。リベートかなんかもらってたのかな。私には姉の使わなくなった辞書があったのだが、やはり周りに流されるようにジーニアスを購入。音の響きも鋭くて、カッコいいじゃないか「ジーニアス」。光沢のあるピカピカのケースに入ったジーニアスは持ってるだけで心強かった。
授業中、成績のいいヤツも勉強できないヤツも、みんな『ジーニアス』を開いて英単語を調べている。先生は「ジーニアスのページが手垢で真っ黒になるくらいジーニアスを引きなさい。それが血となり肉となる! 絶えず反復することがジーニアスへの近道ですっ!」と言う。
使い始めてしばらく経ってから、そもそも「ジーニアス」ってなんなんだ?という疑問。遅すぎる。意味も知らずに使うのもなんなので、「genius」を『ジーニアス英和辞典』で調べた。
『天才』とある。「……天才かぁ……」
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