公文書改ざん、事務次官のセクハラなど次々と醜聞が露呈した上、日米首脳会談も不発。安倍政権の終幕がいよいよ迫っている。内閣総辞職はあるか、ポスト安倍の行方は──。かつて自民党を壊した自由党の小沢一郎代表と、立憲民主党の枝野幸男代表の秘策は? ジャーナリストの田原総一朗氏が切り込んだ。
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田原:安倍内閣はもういつ潰れてもおかしくない。森友問題の公文書改ざん、国有地売却の約8億円値引きに際して、財務省理財局が嘘の証言を森友側に頼んだ、と。さらに福田淳一財務事務次官のセクハラ辞任。テレビ朝日の女性記者が被害を公表したのに認めないなど泥沼化している。安倍首相の友人が経営する加計学園の獣医学部新設では柳瀬唯夫元首相秘書官(現・経済産業審議官)が「首相案件」と言って愛媛県、今治市、加計学園側と官邸で謀議。愛媛県の備忘録が出てもしらばっくれた。
小沢:最近の財務省始め、官僚の劣化を感じます。それ以上にやはり、権力を露骨に乱用し、官僚や役所に命じて無理を通すということ自体が、トップリーダーとしてあるべきことではない。権力を用いて自分のプライベートな思いを遂げさせ、そして事実が露呈しても責任を取ろうとしない。「全部、役人が悪い」と言って責任逃れをしているこの現状があまりにもひどすぎる。安倍首相の責任であるということは、誰もが公然の事実としてわかっているわけです。いずれ遠からず総辞職は避けられないでしょう。
田原:安倍さんを辞めさせられないのは、野党に責任がある。
枝野:それは違うと思っています。自民党の責任ですよ。我々がたとえば不信任案を出しても、自民党が賛成しなければ、必ず否決されます。安倍総理を選んだのは自民党と公明党。「もうこれ以上続けるべきではない」となったら、安倍晋三と首班指名で書いた人たちに引導を渡す責任がある。
田原:森友問題でいえば絶対に必要なのは、値下げしたときの責任者の迫田(英典・元理財局長)氏と安倍昭恵夫人の証人喚問なのに、野党はあきらめている。
枝野:あきらめていません。真相がわからないのは、自民党が証人喚問を受けないからで、これは安倍さんの問題でもある。自民党がうんと言わないから真相がわからず、こんなに長く引きずっているんだということをめげずに繰り返し訴え続けることしかない。
田原:一番だらしなかったのは、佐川(宣寿・前国税庁長官)氏の証人喚問。佐川氏は「刑事訴追の恐れがある」と、50回以上も証言を拒否したが、それは初めからわかっていたこと。それに対して野党は何も突っ込めなかった。
枝野:かつてのロッキード事件やリクルート事件のときも、その場で何か新しいことが出てきたわけではない。証言拒否とか、記憶にないとか言われている中で、それでもぽろっと出てきたものをとらえて、証人喚問から半年かけて、さらに大きくしていったんです。これからです。