尾木直樹さん (c)朝日新聞社
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 友人宅から現金1千万円を盗んだ容疑で、警視庁は東京都江東区の中学3年の少女(14歳)を4月15日に逮捕した。今年1月初旬から2月27日にかけて、友人宅にあった1千万円を2回に分けて盗み出した疑いだ。

 少女は現金をバックに入れて自室のクローゼットに置いていたところ、母親に発見された。少女は「知らない男から預かった」と説明し、母親がひとまず現金を預かった。だが、少女はその後現金をほぼ全額持ち出して、中学の同級生ら友人10人前後に配っていたという。これまでに友人から約740万円を回収し、女子生徒の部屋から約50万円が発見されている。残りの約210万円についても調べている。

 事情を聴かれた少女は、「同級生から仲間外れにされているように感じ、若干ストレスを感じていた」などと話しているようだ。

 「尾木ママ」の愛称で親しまれる教育評論家の尾木直樹さんは、1千万円という金額に驚きを隠さない。

「1万円や2万円を盗んで配ったという話は知っていますが、さすがに1千万円は聞いたことがありません。家庭環境や友人関係に何があったのか、警察が慎重に捜査すべきです」

 動機についてはこう分析する。

「ストレスでむしゃくしゃしてやったのとは、少し違うでしょう。友達に現金をあげることによって、仲間内での自分の居場所の確保や、自分のポジションを高めるためだと思います。こうしたことは、お金を持っている子どもがやることがあります」

 尾木ママも心配するのが、少女やお金をもらった友人たちへのケアだ。江東区教育委員会は、友人たちは学校生活に戻っており、「ほかの生徒も含め何かあれば先生やカウンセラーに相談するように伝えている」としている。

 少女の中学校は全校集会や保護者会を開いたが、取材に応じていない。生徒や保護者の間では「報道されていることしか説明がなく、何もわからない」といった声が出ている。金額が大きいだけに、学校側にも生徒への十分なケアなどが求められそうだ。(本誌・岩下明日香)

※週刊朝日オンライン限定記事