党内からも批判が相次いでいる。
「自民党は『トカゲのしっぽ切り』と言われるような、官僚だけに責任を押しつけるようなことをする政党ではないという姿を見せないといけない」(小泉進次郎副幹事長)、「不正をかばっていると思われたら、自民党の名誉にかかわる」(石破茂元幹事長)
そのキーマンは二階幹事長だ。公明党と足並みをそろえ、財務省の対応を批判し、早急に調査報告を出すように促していた。7日夜には安倍首相と赤坂の料亭で約2時間、会談し、臆測を呼んだ。
「政権を支えてきた二階氏ですが、元
は経世会出身で、タカ派の安倍首相とは政策的に一致しない点も多い。昨年8月には幹事長代行に首相側近の萩生田光一氏が就任しましたが、代行の一つ下の幹事長代理には二階派で閣僚経験者の林幹雄氏が就いており、格下の萩生田氏を“お目付け役”に送り込まれたかたち。よい気はしなかったはずです。今後の展開次第で、秋の総裁選で安倍首相を支持しない可能性もあるでしょう」(前出の角谷氏)
政治ジャーナリストの野上忠興氏も秋の総裁選に向け、党内政局が勃発するとの見方だ。
「もう泥船の安倍丸に付き合う必要はない。安倍首相は党を無視して、お友達人事を行ってきました。安倍一強をいいことにやりたい放題やってきた。その結果、自民党内で反安倍感情を植え付けることになった。9月の自民党総裁選で安倍首相の3選は、ほぼ赤信号に変わりつつある」
その総裁選のキャスティングボートを握るのは、意外にも麻生財務相だ。仮に財務相を辞任したとしても致命傷にはならず、大派閥のキングメーカーになる可能性が高いという。
「今後、麻生氏が宏池会を再結集して大宏池会を発足させれば106人となり、首相派閥の清和会95人を超える上、岸田文雄政調会長、河野太郎外相という総裁候補のカードを持つことになります。心置きなくキングメーカーとして、政治家としての余生を過ごすことができるのです。ところが、安倍首相には生きる道がない。世論と霞が関と自民党内の安倍離れが急速に進んで八方塞がりになり、総裁3選は望むべくもなく、憲法改正も困難になるのではないか」(野上氏)
麻生氏の辞任が「ポスト安倍」戦争のゴングとなるのか。9月の総裁選には名乗りを上げている石破元幹事長、野田聖子総務相、さらには河野外相、岸田政調会長らも参戦する可能性も出てきたという。自民党は与党として森友疑惑にどうカタをつけるのか? (週刊朝日取材班)
※週刊朝日 2018年3月23日号より加筆