米朝間で核・ミサイル問題をめぐる緊張が高まる中、2月9日に開幕する平昌五輪が政治的駆け引きの舞台になりつつある。
韓国と北朝鮮は17日、板門店で開いた実務協議で、五輪開幕式で両国の選手が「朝鮮統一旗」を掲げて合同入場することや、女子アイスホッケーに南北合同チームで出場することに合意した。
一見、「雪解け」の兆しともとれるこのニュースだが、韓国国内には反発の声も根強いという。特に物議を醸しているのが、韓国の女子アイスホッケーチームに北朝鮮の選手が参加することになったことだ。韓国の野党国会議員がこう語る。
「北朝鮮は五輪に出場できたとしても、元々、アイスダンスしか出場枠がなかった。それでは政治的アピール効果が少ないと考えてホッケーの合同チームとなったのでしょう。韓国政府高官は『アイスホッケーはとてもメダルは無理だし、南北融和のいしづえとなる。世界平和の一歩なんだからいいんじゃないか』などと発言しています。でも、チームプレーのホッケーでいきなり見ず知らずの選手が入ってきてもうまくいかないし、韓国の選手とはレベルの差が歴然としている。韓国チームの監督には、きっと北朝鮮の選手をどこかで使わざるを得ない圧力がかかるでしょう」
他にも、今回の南北協議で決まったことには、政治的な思惑を感じざるを得ない点が多いという。
「北朝鮮の馬息嶺スキー場で、代表以外の選手が五輪前に1泊2日の合同練習をしようと北朝鮮側が提案してきて合意したが、馬息嶺は金正恩委員長が視察するなど肝いりの施設で、国際的リゾート地として売り出そうとしているところ。なぜ、合同出場する競技に関係ないスキーの施設なんかで練習しなきゃいけないのか。北朝鮮側のPRですよ。北朝鮮のテコンドーの模範演技団が平昌とソウルで試技をするというが、これも五輪とは関係がない。北朝鮮に五輪に出て欲しいという政治的思いが強すぎる政権から『とにかくOKしろ』と言われ、なんでも了承しているのが交渉団の現状でしょう。完全に足元を見透かされ、北朝鮮の思いのままに交渉が進んでいる」(前出の韓国の野党国会議員)