大阪地検に補助金詐取などの容疑で7月末に逮捕されて以降、森友学園前理事長の籠池泰典被告と妻の諄子被告の勾留が長期化している。検察は証拠品の押収や関係者の聴取を終えたが、起訴後も身柄を拘束されたままだ。しかも家族との接見も禁止。手紙のやり取りも弁護人を通じてしかできないという。
元刑事裁判官の安原浩弁護士が疑問を呈する。
「証拠隠滅の恐れという理由が考えられますが、この事件はずっとメディアも含めて大騒ぎしてきましたからね。籠池さん夫妻はあちこちからさんざんたたかれたりつつかれたりしながら、ようやく逮捕されたわけですから、証拠隠滅の対象になるものはもう何も残っていないと思われます。検察は収集した証拠で十分と判断したから起訴したのだろうし、接見禁止まで付いているのは理解できません。逆に検察官が証拠隠滅の可能性が高い理由を説明できなければ、勾留請求は認められないはずです」
籠池夫妻は容疑に対して完全黙秘を続けたという。勾留請求の却下率は、裁判員制度がスタートした2009年まで1%以下だったが、現在は3%台にまで上昇している。近年飛躍的に伸びたとはいえ、まだまだ低水準だ。黙秘や容疑を否認している者は、いつまでたっても拘束され続けるという「人質司法」はいまだ解消されていない。