亡くなった「エンケン」こと遠藤賢司さんのミュージシャン仲間であるPANTAさんは24日夜、遠藤ミチロウさん、鈴木慶一さんらとともに病室に駆けつけた。
「エンケンは『病気だけど頑張ってる』なんて絶対に思われたくない男。『頑張れなんて言うんじゃないよ』という有名な歌詞があるくらい。だから俺も『がんばれ』とは言えなくて……」
PANTAさんがエンケンの手を握り、「エンケン!PANTAもミチロウも慶一もここにいるぞ!」と声をかけると、少し呼吸に力が入ったように見えたという。
長く交友のあったPANTAさんは「エンケンは『孤高の人』だった」と振り返る。
「フォークの中でも異色、ロックの中でも異端。エンケン自身が一つのジャンルだった。自尊心が強く、売れ線の音づくりはしない。髪形も服装もステージングもばっちりキメて、様式美にこだわっていた」
病室からの帰路、遠藤ミチロウさんがこう言った。
「エンケンさんには真ん中がないよね」
ボソボソとささやくように歌っているか、のどが張り裂けそうなほど激しく叫んでいるか。
中途半端な歌い方はしない。その落差が大きく、聴衆の感情を揺さぶった。
PANTAさんも「確かにそうだ」と苦笑して見せたという。
PANTAさんは今年1月、東京・渋谷クアトロであったエンケンのバースデーライブに参加した。
「最高に盛り上がったステージだった。本当は神経質なのに、自分を『不滅の男』と言ってのけた。エンケンはどこまでも前向きだったな」 (本誌 佐藤修史)
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