北朝鮮が日本へ向けてまた、ミサイルを撃った。政府は8月29日午前5時58分頃、北朝鮮の西岸から北東に向けてミサイル1発が発射され、6時6分頃に北海道の上空を通過、6時12分に襟裳岬の東方約1180キロの太平洋上に落下したと発表した。“蚊帳の外”にいた日本が極秘裏に動きだした。厳戒態勢下の北朝鮮に“密使”を送るという驚くべき計画が進行しているという。
官邸関係者がこう語る。
「日本が橋渡しとなって、米国と北朝鮮を対話のテーブルにつかせるという計画が練られています。8月17日にワシントンで行われた日米の外務・防衛閣僚による『2プラス2』でも、河野太郎外相が米国のティラーソン国務長官へ打診したようだ。そのための“密使”を日本から北朝鮮に送り、金正恩を直接説得しようと画策しています」
一見、荒唐無稽な話だが、これには前例がある。1994年の朝鮮半島核危機では、米朝の対立が深まる中、クリントン大統領(当時)の意を受けたカーター元大統領が「仲介役」として電撃訪朝して金日成主席と会談。北朝鮮を対話姿勢に転じさせ、軍事衝突を回避した。内閣支持率の低迷にあえぐ安倍晋三首相だが、起死回生の“逆転満塁ホームラン”を狙っているというのである。
“密使”には、意外なあの人物の名前が挙がっていたという。
「2回の訪朝の実績がある小泉純一郎元首相です。8月15日に山梨県にある笹川陽平・日本財団会長の別荘で安倍首相、麻生太郎財務相、小泉氏、森喜朗元首相の歴代4首相がそろって会食する場があったが、その際にも北朝鮮の話題が出ました。武力衝突を回避し、日本の頭越しに米朝で対話を始められても困るので、安倍さんが小泉さんに『9月17日に特使として北朝鮮を訪問し、米朝対話の仲介をしてほしい』と頼みました。だが、『私は引退した身。その任にあらず』と小泉さんは固辞したそうです」(前出の官邸関係者)
9月17日といえば、2002年に小泉氏が初訪朝して日朝平壌宣言に署名した日。当時、官房副長官だった安倍首相も同行していた。