夢をかなえるための学びは継続すること。続ければ、能力がつき、学んだことを自分の言葉で教えられるようになる。そのレベルまで達したら、稼ぎも後からついてくる。

 そして、無駄遣いをすすめるわけではないが、稼いだら消費することも大事だ。

「活動的な人が増えていけば経済は動き、社会も変わります。お金はため込むのではなく、還元。そう考えましょう」

 オシャレをしてシニアがさっそうと街を歩けば、それを見た若者も年を重ねることに前向きになれる。そうした世の中の意識の変化に消費の意味があるのだ。

 とはいえ、年齢を重ねると、積み重ねてきた成功体験に縛られるようになる。また嫌なことを避ける「生き癖」が行動範囲を狭めがちだ。定年後の集まりに、かつての肩書を口にしてしまうような人もいる。

 そんな生き癖を直すには「習慣をちょっと変えるだけでいい」(小島さん)。習慣を変えることは、後半の50年を生きるためのいわばストレッチ。特に思考の柔軟性に乏しい男性におすすめだという。毎日読んでいる新聞とは別の新聞に目を通す、駅まで歩くルートを変えてみるなど些細なことでもいい。そこから新しい情報が入ってきて刺激になるからだ。

 それでも「若い人にはかなわない」「年とともにできることが少なくなっていく」と後ろ向きになってしまう人はどうしたらいいのだろうか。

 小島さんが話してくれた、以前、高知県にあったカラオケ店が興味深い。昼間に学校をサボって来ていた中高生に、居合わせた70代の人が「なぜこんなところにいるのか」と注意した。ずっと注意することができなかったオーナーが、「シニア力」というものに改めて気づき、その後、店は高齢者ばかりを雇い、地元では、「シルバー」と呼ばれ親しまれたという。

 このように仕事でも、若い世代とは違った「役割」があることに気づくべきだろう。

「年齢で決めつけないエイジレスのいい例だと思う」

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