そもそも、日本の「人口ピラミッド」の将来予測形の逆三角形(支える底辺が若年層)から労働人口が減ると決めるのは良くない、と小島さんは言う。
「若い人が大変、なのではなく上の世代を適材適所に振り分けられるような社会になればいい。総務省の2014年の調査によれば、55歳から75歳の未就労率は54%(1886万人)、女性は34%(1314万人)。この未就労者が今後の日本の労働力になるのです。また、内閣府の意識調査では、60代で83.3%、70代で49.9%、80代で37.3%が働きたいと言っています」
高齢世代を若い世代が支えるという発想ではなく、一緒に社会を作っていく。その先に健全な超高齢化社会があるはずだ。
さて、100歳人生時代は働き方だけでなく、年齢とともに人とのかかわり方も変化してしかるべきだ。
「まず、これまでの役割終了宣言をすること」
夫婦であれば役割分業を排除して、フラットなパートナーとして関係を構築しよう。もしも夫婦間で「パパ」や「ママ」と呼び合っていたのなら、50歳からはやめよう。また、成人した子どもに対し、親としての役目は終えた、とはっきり宣言してもいい。
家族だけに頼らず、人間関係を構築するのは人生のセーフティーネットでもある。50歳を過ぎれば、家族の病気や別れなど人生に「ある意味の欠損」が普通に起きてくる。それを受け入れて、前向きに生きることが大切なのだ。
「家族以外の人と交流し、緩くつながれる場所を多数持ちましょう。孤独であっても、孤立はしていない環境を自分自身で作ることが大事です」
加えて、小島さんがすすめるのは50歳から人生シナリオを書くこと。定期的に書き直すといいそうだ。
「50歳以上になるとアクシデントは避けられない。失うものや予期せぬ別れもある。それも含めて自分のシナリオを上書きしていくのです。欲しいものが手に入るかもしれないという前提で動くことが大切です」