「天下分け目の戦」となった東京都議選は、安倍自民の自滅で、小池百合子都知事の見事な”勝ち戦”となった。
7月2日午後8時から投開票が始まると、下馬評とおり、小池氏率いる地域政党「都民ファーストの会」(以下は都ファ)が圧勝の勢いと報じられ、小池氏が会場入りしてすぐに、30人近い候補者の名前に緑色の花がついた。49議席を獲得した都ファは早々に第1党となり、公明党などの支持勢力を含めて過半数を大幅に上回る79議席を獲得した。
「おかげさまで私どもが第1党を確保することができました。ありがとうございました」
すでに大勝利を予見していたからか、小池氏は淡々とした表情で、興奮した様子は見られなかった。
記者会見の会場には100人を越える報道陣が詰めかけ、すし詰め状態。都ファ側は小池氏と幹事長の2人だけが出席した。
こうなると次なる焦点は、小池氏が勝利の勢いに乗り、かねて噂されていたとおり国政に進出するかだ。
2日夜の会見でメディアからは早くも国政進出の予定を聞く質問が続いたが、小池氏は「予定はございません。都政に取り組んできたからこそみなさんの支持を得た。知事として五輪・パラリンピック開催など課題が目白押しです。これから1年目で種をまいた都政の実績をつんでいく」などと語った。
だが、水面下では「国政政党」をめぐる胎動が既に始まっている。
6月23日には、4月に民進党を離党した長島昭久衆院議員が都ファの会公認候補の応援演説に登場。小池氏や、自民党に離党届を提出した若狭勝衆院議員と共に選挙カーの上に立ち、こう演説した。
「私が左のガケから飛び降りて、右のガケから若狭さんが飛び降りて、真ん中で小池さんに出会いました」
まるで〝結党宣言〟。前日の22日には、日本維新の会副代表の渡辺喜美参院議員が小池氏との協力姿勢を示したことを問題視され、党を除名となっている。小池氏の周りに、続々と「ガケから飛び降りた」国会議員たちが集結しているのだ。果たして新党結成はあり得るのか。若狭氏を直撃すると、
「(長島氏とは)新党どうこうという話は現在していません。都議選で東京全域を回り、多くの方から『新しい国政政党をつくって』という声をいただいた。都議選の結果と、そうした声を踏まえ国政政党を考えることはあり得ます」
と、新党の可能性を否定しなかった。都民ファーストならぬ、「国民ファーストの会」が誕生する日も近いのかもしれないのだ。