競技人口拡大のため、近代化されたルール変更を検討しているゴルフ界。その多くに丸山茂樹氏も賛同するものの、なかにはプロにとっては難しいものもあると指摘する。

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 サッカーJ2横浜FCの三浦知良(かずよし)さんが、「50歳ゴール」を決めちゃいました! あの年齢で、第一線でプレーされてることだけで驚きなのに……。尋常じゃないですね。さすがカズさん。やっぱり「キング」です。

 そのゴールに際して、カズさんがオーダーメイドでなく、市販のスパイクを履き続けてるっていう記事がありました。一般に売られている新商品を、そのまま使っている、と。カズさんいわく、「一番よく改良されてるスパイクだから売り出すんでしょ」。いやあ、一理ありますよね。

 ゴルフシューズは、かつては革の製品ばかりだったし、いまほど靴をつくる技術が発達してなかったから、いい職人さんに自分に合ったものをつくってもらわないと、とても1日10キロ以上歩けなかった。いまは素材もスニーカーに近づいてるし、僕も市販品でぴったりくるのがあれば、そのまま履いてます。

 昔からみんな、靴にはいろんな試行錯誤をしてましたよ。片山晋呉(44)なんかは、かかとを少し高くして、自然とつま先に体重がかかるように工夫してました。まあ、カズさんがずっと市販品で通してるってのは、カズさんが癖のない足形だからってのもあるんでしょうね。

 さて、ゴルフの話です。世界のゴルフ規則を統括する英国ゴルフ協会(R&A)と全米ゴルフ協会(USGA)が、プロアマ問わず大幅なルール改正に乗り出しているのが明らかになってきました。規則を近代化して、プレーのスピードを上げ、競技人口の増加につなげていきたい考えがあるようです。

 提言されている中身を見てみると、僕らが昔から言ってたことがたくさん入ってました。たとえば「ドロップ」のやり方です。プレーできないところにボールが入ってドロップするとき、いまは肩の高さからボールを落とさないといけないのが、新ルールでは地面のすぐ上からでOKになります。簡単でいいですよね。ソールしてボールが動いてもノーペナルティーとか。グリーン上にできたスパイクの跡を直せるとか。こんなの、ずっと昔から言ってましたよ。後ろの組で回ると、グリーン上はでこぼこですからね。明らかに不利なんです。こういった部分は実際に改正までこぎ着けてほしいです。

 
 スロープレー対策として、準備のできた人から打つ「レディー・トゥ・ゴー」も提言に入ってます。現状ではティーショットはスコアのいい人から、2打目以降はカップから遠い人から打つことになってます。それを準備のできた人からどんどん打っていこうというわけです。これはジュニアの世界では当たり前なんですけど、駆け引きが大事になってくるプロの世界ではどうなんだろうなあ。

 パー3のティーショットなんてシビアですよ。風一つで全然違ってくる。先に誰か打ってくれた方が、いろいろ参考にできる分、絶対に有利です。3人で回ってる中で、1人だけ優勝争いから離脱した選手がいるとします。パー3に来ました。レディー・トゥ・ゴーで、「もう優勝はないんだから、先に打ってよ」みたいな空気になったら嫌じゃないですか。ほかにもいろんなことが起こりそうで、プロではなかなか難しいんじゃないでしょうか。

週刊朝日  2017年3月31日号

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