そして10月1日午後、幸美さんにまつりさんからLINEでメッセージが届いた。
<会社辞めたい>
この時は、なんとか励ました幸美さん。まつりさんは、ツイッターでも厳しい状況に悲鳴をあげていた。
<神様、会社行きたくないです>
<一生残業してそう>
幸美さんにはLINEで<死にそう>とまで訴えた。
10月18日、まつりさんは電通の福利厚生でチケットをもらいディズニーランドに幸美さんを招待した。アトラクションで並んでいた時だった。
「ナチスドイツで寝させない拷問があった。寝ないって拷問だよね」
まつりさんはこうつぶやいたという。
ツイッターでも<眠りたい以外の感情を失った>と綴っていた。
同じような時期に、まつりさんは私に電話をくれた。
「2日間徹夜とか、電通はおかしすぎます。今からでも週刊朝日に入れますか?」
こう尋ねてきた。まだ入社して半年。すぐに深刻な話はしなくなったので、「頑張るんやぞ、けどぼちぼちとな、まつり」と言って電話を切った。
今思えば、SOSだった。悔やまれてならない。
仕事をしても、ダメ出し、やり直し、残業ばかりで休日も出勤。深夜に帰宅し、2時間程度しか毎日眠る時間はない。飲み会への出席も「義務」とされたようだ。
「上司から『女子力が足りない』と言われ、ひどく傷ついたそうです」(幸美さん)
パワハラ、セクハラ、いじめ……。まつりさんはうつ病を発症し、追い込まれていく。幸美さんは、毎日電話やLINEで励ました。
※週刊朝日 2017年2月10日号より抜粋