トップ女優として活躍される綾瀬さん。コミカルからシリアスまで幅広い役柄を演じる一方、インタビューやバラエティー番組では天然発言で話題になることも。この日は、映画『本能寺ホテル』の主人公との共通点を作家の林真理子さんに語ってくれました。
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林:本能寺ホテルというレトロなホテルのエレベーターが戦国時代に通じていて、タイムトリップしちゃうというお話で。綾瀬さん演じる繭子さんは、まだ自分というものを確立していなくて、ちょっとフラフラしているんですよね。彼女の自分探しと本能寺の変の謎が交差して、おもしろかったですよ。
綾瀬:不思議なお話ですよね。
林:本能寺の変って日本史上最も有名な謎ですもんね。織田信長と森蘭丸の遺体も見つかっていませんから、いろんな結末を考えちゃいました。
綾瀬:ああ、そうですよね。
林:タイムトリップした繭子さんは、ここが400年前の世界だってすぐに理解するじゃないですか。
綾瀬:早いですよね(笑)。
林:でも、それがすごく自然でした。
綾瀬:繭子は現代ではいろいろ悩んでいるんですけど、過去に戻ると本来の自分を取り戻したかのように生き生きするんです。監督からも最初に、「過去に戻るとワクワクしていく女性です」と言われました。
林:繭子さんは、会社が倒産しちゃって職もなくて、かといってやりたいことも見つからなくて。だから「永久就職もいいかな」って、あんまり感じよくない彼氏と婚約しちゃうんですよね。こういう女性、演じていてどうでした?
綾瀬:どうでしょう。プロデューサーさんからは、「綾瀬さんに当て書きです」と言われました。
林:でも、あんなに優柔不断じゃないんじゃない?
綾瀬:う~ん、そうですね。「似てる」って言われるとそんな気もしますが、繭子はちょっと「不思議ちゃん」ですよね。でも後半、どんどん生き生きしていく繭子が、本来の姿なのかなと思いました。自分が何をしたいのかわからない人って多いと思いますが、繭子みたいにたった1日のきっかけでも、変わっていけるんだと思います。
林:なるほど。それにしてもあのフィアンセ、けっこう威張ってると思いません?
綾瀬:アハハハ。そうですよね。「オレ様」っぽいですよね。
林:結婚式場決めるときも、勝手に「ここでいいじゃん」とか言って。
綾瀬:ねぇ。私も演じてて「これはちょっとムカつくな」って思いました(笑)。
林:私だったら「新しくできた京都のリッツ・カールトンじゃなきゃイヤ」とか言っちゃうかも(笑)。
綾瀬:アハハハ。
※週刊朝日 2017年1月6‐13日号より抜粋