角界のスターたちとの関わりが深いという、プロゴルファー・丸山茂樹氏が、朝青龍や千代の富士など名力士たちの思い出を語る。
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一年納めの大相撲九州場所が終わりましたね。
お相撲さんといえば、僕は元大関の小錦さん、元横綱の武蔵丸と仲よくさせてもらってきました。共通の知り合いがいたので。そこに元横綱の曙が一緒だったり。若貴のふたりとはテレビ番組で一緒になって。あのころの大相撲のスターのみなさんとは、だいたい面識がありますね。僕らの世界とお相撲さんの世界は縁があるというか、ほとんどみんな、なんやかんやでつながってるんですよね。いろんな会合で一緒になったりなんかで。
元横綱の朝青龍とも、彼が現役のときは仲よかったですよ。何回かごはん食べにいきました。気が利いて優しくて、僕は好きだったんですけどね。ああやって騒動を起こしちゃったってのは、そのときの気分とか、相手の対応が悪かったりもしたんでしょうね。カチンとくることは、人間誰しもありますから。そういう部分ばっかりクローズアップされちゃいましたから。すごく気を使ってくれて、いいヤツですけどね。ほんと、もったいないですね。
ずっと憧れだったのは、今年の夏に亡くなられた千代の富士さんでした。
まあ、切れ味の鋭い取り口が、たまらなくかっこよかった。立ち合いで当たってから技を繰り出すまでが速くて、パワーもあった。あのパワーでファンを魅了しましたよね。体は小さくても、トレーニングでつくりあげた肉体。なんだかこう、「相撲取り」というより「相撲レスラー」という感じがしましたね。かっこよかったなあ。千代の富士さんはゴルフも大好きだったんで、僕がプロになってからもよくいろんなとこでお会いしましたし、激励をいっぱいいただきました。本当にありがとうございました。
角界にもいろんなことがありましたけど、一時の不人気から見事に復活しました。いまは白鵬という名横綱がいますから、彼を中心にして盛り上がってますよね。あとは日本の力士が横綱になれれば。今回は大関豪栄道が綱とりに失敗して残念でしたけど、やっぱり日本人横綱が必要ですよ。スパイスとして。
グローバルな企業での講演なんかだと、米PGAツアーに参戦してたころの話を求められますね。世界に向けて、どんなふうにやってきたかというのを話してください、ということで。米ツアー参戦は、子どものころからの夢でした。我々の世界は、自分自身で切り開いていって、目的地に到達していかないとダメなんで。小さいときから米ツアーという夢に向かって頑張って、やっとそこへ行けた。夢のステージに立って、世界に挑戦した経験をまっすぐに話してます。
まあ、いずれは僕に代わって松山英樹(24)や石川遼(25)が話すことになると思うんですけどね。
そこまでは自分がまだお話しさせていただく機会があると思うんで、いろんな方々に自分の経験が役に立てばと思って、しゃべっていきますよ。
※週刊朝日 2016年12月9日号
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