と、茜会の川上喜彦社長は言う。もともとは川上氏の母親が、中高年者のお見合いをお世話していたことから始まった。

「年老いた親御さんがいる、介護の必要な親がいる、未成年の娘さんがいる、死別した夫の位牌(いはい)を持っている、財産のせいで子供が反対する……。中高年の結婚って、しがらみだらけ。自分が変わらないと婚活はうまくいきません」

 そう言われて、サロンパーティーを眺めると、確かに不利な条件を抱えた人が多く、選ぶのは難しそうだ。

 男性が席を一周し終えると、「希望カード」に気に入った相手の名前を記入する。投票所のように無言だ。男性は黒いボックス、女性はピンクのボックスにカードを入れ、退室する。マッチングした場合、後日、茜会事務局から相手の連絡先が郵送され、自由な交際に発展する。今回は2組のカップルが成立した。

 私は、千葉県在住の女性が退出の際に残した言葉が気になった。

「看護師長として仕事に没頭してきたから家庭をダメにしちゃって離婚しました。定年近くなって、そろそろ自分の幸せを手にしてもいいかなと入会したんです。でも、そこらへんの男性はポンコツばかり。女性らしい女性を求めるから、私みたいな人を良しとする男性は、そういません」

 半生を遮二無二仕事に費やし、社会で活躍してきた女性ほど、婚活では敬遠されやすいのが現実らしい。特に65歳以上の男性といえば「男は仕事、女は家庭」が当たり前で育った世代である。そういえば、大手出版社で働いていた私の知人女性も、婚活パーティーで会社名を告げただけで、男性が全員引いたと言っていた。今、活躍する40~50代の女性が、第二の人生を求めて婚活を始めた時、はたして包容力ある男性に出会えるのだろうか。

 そこで私は、茜会大阪支店で出会い、結婚に至った二人の65歳の女性から、成功の秘訣を聞かせてもらうことにした。

「息子のお嫁さんとうまくいかなくて、人生を変えてみようかなと入会したんです。でも、サロンパーティーで、男性から『収入はいかほどで?』って聞かれ、びっくりしちゃって。『もうやめたい』って事務局に言った後、最後に出会った人からОKが出たんです」

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