「九鬼隆平(秀岳館)は継投する投手のよさをそれぞれ引き出した。大沢翔(木更津総合)と古賀優大(明徳義塾)の配球の妙も魅力だった」
と渡辺氏。1、2回戦で一塁走者を牽制(けんせい)で刺した野本真康(花咲徳栄)のスローイングも目に留まった。佐々木氏は萩原哲(日南学園)のフットワークのよさと肩の強さに着目した。
一方、神田氏の視点はユニークだ。
「林将広(出雲)。島根大会決勝で優勝の輪に加わらずに、相手のバットをベンチに届ける姿が評判になったが、甲子園でもさりげなく『バット引き』をやっていた。視野が広く、どこに出しても恥ずかしくないフェアプレー精神の持ち主だ」
■華麗な内野手
「3試合連続本塁打の入江大生(作新学院)は勝負強い。本物だね」(渡辺氏)
佐々木氏も入江の「一発で仕留める勝負強さとスイングスピードの速さ」にほれ込む。大津氏と神田氏は公家響(横浜)を挙げた。
「履正社戦の9回に二塁打を放った場面は、あっさりと試合を終わらせないというメンタル面の素晴らしさを感じた」(大津氏)
「派手な言動をせず、背中で引っ張る主将。黄金時代のPL学園の主将を思い起こさせる」(神田氏)
二遊間で目を釘付けにしたのは、常総学院の有村恒汰と中村迅。
「二塁手の有村は守備範囲の広さ、打球に対する1歩目の速さは大会屈指。中村は183センチの大型遊撃手でグラブさばきのよさと安定した送球が際立った」(佐々木氏)
「見ているだけで楽しい二遊間。球際に強く、打球を抜くのは難しい」(神田氏)
渡辺氏も守備の堅い選手を挙げた。
「二塁は今井涼介(明徳義塾)の守備が抜群。遊撃手は山本拳輝(作新学院)。ボールに差し出すグラブがいいね。準々決勝の木更津総合戦での左翼からの中継を送球し、本塁で刺した場面が印象的だった」
遊撃手の松尾大河(秀岳館)は「はつらつプレーで動きのキレがいい」(大津氏)、「体全体がバネのようで肩も強い」(佐々木氏)と二重丸。
三塁手として名前が挙がったのが、佐渡敬斗(大曲工)。大津、神田両氏とも「秋田大会の安打はたった1本で、公式戦での本塁打もなし。それが大舞台でプロ注目の高橋(花咲徳栄)から本塁打とは、思い切りがいい」と褒めた。
■際立つ大型外野手