この夏も手に汗握る熱戦が繰り広げられた全国高校野球選手権大会。朝日放送(ABC)の高校野球解説を務めた渡辺元智・横浜前監督や、弊誌臨時増刊「甲子園2016」を担当したライターらの目に留まったのは、いかなる選手たちだったのか。今大会“キラリ”と輝いた選手の中から、編集部が「ベストナイン」を選びました。
■好投手目白押し
横浜の渡辺元智・前監督は今大会のナンバーワン投手として、今井達也(作新学院)を挙げた。「BIG3」と称された藤平尚真(横浜)、寺島成輝(履正社)、高橋昂也(花咲徳栄)が剛のイメージなら、今井は柔だという。「力を入れたときに少し制球のばらつきがあるが、細身からのしなやかなフォームで、ストレートもまっスラ(速いスライダー)もいい。何かを備えている投手は試合を重ねてグッと成長し、甲子園の舞台で輝いていく」(渡辺氏)
今大会、球場で取材した、ノンフィクションライター神田憲行、スポーツライター佐々木亨の両氏も今井を推薦する。
「明徳義塾の馬淵史郎監督が激賞していました。『あんな投手がおったら、どこのチームも優勝を狙う』と」(神田氏)、「直球の伸びと130キロ台のカットボールは一級品」(佐々木氏)
BIG3について、渡辺氏は「大物感があり、プロ野球を担っていくだろう」と評価する一方、「体を作る準備もできない中で途中登板となった3人の負け方は残念だった」と語った。
このうち高橋を絶賛するのは、臨増「甲子園」の編集を25年担当するフリーライターの大津慎一氏。
「太い下半身は、海草中(和歌山)の嶋清一をほうふつとさせる」
嶋は高橋と同じ左腕で、1939年の夏の大会で全5試合を完封。決勝と準決勝ではノーヒットノーランを達成した伝説の投手だ。
渡辺氏は「抜群のコントロールを持つ」早川隆久(木更津総合)、「強気にインコースを攻める」鈴木昭汰(常総学院)、「左打者に対して逃げていくスライダーがいい」堀瑞輝(広島新庄)の左腕投手も並べた。
■捕手のリードは…