リオ五輪の出場を逃し、引退した競泳の北島康介(33)。北島と親しいプロゴルファーの丸山茂樹氏は、彼の分も張り切ってリオ五輪に挑戦すると決意した。

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 読者のみなさんも月曜日の超早朝から、テレビにかじりつかれたことだと思います。今季の海外メジャー初戦「マスターズ」(4月7~10日、米ジョージア州オーガスタ・ナショナルGC)で、松山英樹(24)が7位に入り、日本勢では初の2年連続トップ10入りを果たしました。

 英樹は最終日、2打差の3位で出ただけに、日本選手のメジャー初優勝の夢はみなさんの中でふくらみにふくらんでたはずです。僕自身も、18ホールの全ショットを頭にたたき込もうと思って、テレビの前に構えましたよ。

 序盤の4~6番で、英樹はスコアを四つ落としました。ショットがままならず、思わず声が出て、クラブをたたきつけそうになるシーンもありました。

 サンデーバックナインに入ると、ショットはよくなったものの、パットが決まらない。12~15番です。13番は2メートル弱のイーグルパットを外し、12番は4メートル、14、15番は3メートル以内からのバーディーチャンスを逃しました。かみ合わなかったですね。

 去年は11アンダーで5位、今年はイーブンパーで7位。英樹がコメントしてるように、「去年はグリーンがやわらかくて遅い状態の中で5位。今年は風が吹いて、みんなが苦労するような状況でここにいられた」と。サンデーバックナインでショットの集中力を高めていけたのは立派だったと思いますよ。近々帰国すると聞いたので、会えたらオーガスタでのいろんな話を聞いてみたいですね。

 
 史上4人目の連覇を狙った22歳のジョーダン・スピース(米)にとっては、なかなか立ち直れないような結果になりました。まさに悪夢といったところでしょうか。

 初日からずっとトップに立ち、2位に5打差をつけてサンデーバックナインに突入しました。それが10、11番と連続ボギー。さらに12番パー3で2度もクリークに入れ、まさかの「7」。28歳のダニー・ウィレット(英)に抜かれ、そのままジ・エンドとなりました。

 初日から見ていて、スピースは普段のリズムとまったく違ってました。パットでもショットでも、仕切り直しが非常に多かった。見ている側にも本人の不安が伝わってくる感じでした。ショットも右にいったり左にいったり。両方にぶれてしまってました。

 それでもなんとか最終日の前半は4アンダーで回ってきたんですけど、スピースが抱いてた不安は全部、バックナインで出てしまいましたね。考えられないようなミスばかり。心技体の「心」がまったく整ってなかったのかなという気がしました。そんな中でも、歯を食いしばってしがみついたのはすごいですけどね。

 話は変わりまして、ずっと親しくしてきた競泳の北島康介がリオデジャネイロ・オリンピックの切符を手にできず、引退を表明しました。電話で話したときに、彼は「最高の選手生活でした」と。いまの僕の立場を含め、いろいろ考えちゃいましたね。ほんとにおつかれさまでした。

 僕はこの夏初めてオリンピックへ行くので、一緒に行けたら面白いと思ってたんですけどね。こうなったら、康ちゃんの分も張り切って行ってきますよ!

週刊朝日 2016年4月29日号