内部資料によると、「防衛省のオフィシャルマガジンであり、防衛政策及び自衛隊の活動などを、一般国民の幅広い読者層(特に青少年層)に対して分かりやすく伝える」と記してある。

 マニア向けのお堅い雑誌かと思いきや、表紙を飾るのは女子アイドルばかり。最新号では、女優の武田梨奈が護衛艦に乗り込んでルポをしたり、ミリタリーキャラ占いや自衛隊員の誌上婚活が行われたり、若者向きの誌面になっている。

 広報誌ながら書店でも販売され、約3万部を発行。このユニークな企画を持ち込んだ扶桑社の高久裕氏が出版の経緯を話す。

「防衛省には以前、『セキュリタリアン』という広報誌がありましたが、社内報のようなものでした。民間を活用して若者にも読まれるものにしたいという動きが防衛省にもあり、競争入札が行われ、うちの企画が採用されました」

 読者は30代男性が多く、土屋太鳳などの人気タレントが、制服姿で敬礼ポーズをしている表紙も一つのウリになっている。

「タレントを起用すると、本人がブログなどで発信してくれるので、自衛隊に興味のない人にも知ってもらえます。タレントには本物の制服を着用してもらい、普段入れない自衛隊内部を紹介し、現役自衛官が正しい敬礼の仕方を指導していて、本格的です」(高久氏)

 最近では、毎月3人の自衛官が誌上で恋人を募集する連載「マモルの婚活」を目当てにした女性読者も増えつつあるという。1人の自衛官に80人の女性がアプローチしたこともあり、実際に結婚した自衛官もいるそうだ。

 昨今は、「公務員で収入が安定していて頼れる」などという理由で、女性が自衛官と結婚しようと婚活する「J婚」という新語も生まれている。

 男性は自衛隊員限定という婚活サービスを提供する「自衛隊プレミアムクラブ」の会員数は4914人(11月27日現在)。安保法案可決後も、平日6~10人、土日は10~15人の女性から応募があり、人気に影を落とすことはないという。

「婚活事業をする中で、15年以上前から、自衛官と出会いたいという女性からの要望があって始めたところ大盛況。自衛官との結婚希望女性が多いため、自衛官の満足度を高めて、より本気の女性だけを対象にしようと、女性の写真審査を行っています」(広報担当者)

 自衛官人気は、防衛大学校の開校記念祭に行っても一目瞭然。将来有望な防衛大学生の連絡先をゲットしようと、女の子が必死に声をかける逆ナンパをする姿が、多数見受けられたのだ。

「自衛官はマッチョで、規律正しい生活のせいか真面目で誠実。結婚相手には最適なんです」(J婚に参加した20代女性)

(本誌・牧野めぐみ)

週刊朝日 2015年12月11日号より抜粋

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