ロシアが9月末にシリアで空爆を始めて以降、トルコとロシアは摩擦が絶えない。ロシアが、トルコ同胞であるトルクメン人の地域を爆撃したからだ。ロシアの度重なる領空侵犯はトルコへの牽制と見られている。
関係者が解せないのは、今回に限って旧型のSu24だったことだ。
「ロシアは、Su24をシリアに多く配備しているので偶然飛行していてもおかしくありません。領空侵犯しても攻撃されないと、おごりがあったのかもしれませんが、うっかり侵犯してしまった可能性もある。Su24は改良を重ねてはいますが、GPS航法装置は内蔵していなくて、性能が劣る市販の外付けタイプのものを使っていた可能性があります。機体の位置を正確に把握しきれなかったのかもしれません」(前出の竹内氏)
トルコが加盟するNATO(北大西洋条約機構)が、ロシア機を撃墜したのは1950年代以来初めて。欧州諸国は震撼した。一発の銃声から第1次世界大戦が始まった歴史を持つ欧州とロシア。「おおごとにしない」という点で双方は一致している。
※週刊朝日 2015年12月11日号