小泉進次郎衆院議員 (c)朝日新聞社 @@写禁
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 福島の原発事故以来、閉塞した状況を一変させる可能性を秘めた“ビッグバン”が来春に迫る。8兆円の市場をもたらすとされる電力完全自由化だ。だが、最大のリスクは再稼働を急ぐ安倍政権の原発回帰政策──。小泉純一郎、進次郎親子はそれに待ったをかけられるか?

 原発の電気を優先して流し、地域間の連携も不十分なために太陽光などの再エネ業者の新規参入が電力会社によって制限されてきたことは、本誌がくり返し報じてきたとおり。ルールづくりがなかなか進まず、状況が改善されるかも不透明なため、参入に踏み切れない再エネ業者も多いという。

 正念場を迎える公正なルールづくりの最大の障害になりそうなのが、安倍政権の原発回帰政策だ。安倍政権は7月に、30年度の電源構成を正式決定したが、依然として原発をベースロード電源とし、原子力の比率を20~22%と定めている。

「この比率を維持しようとすると、必然的に原則40年の運転期間を超えた10基前後の老朽原発を動かさざるを得ない。安倍首相は口では『電力自由化、原発依存度の可能な限りの低減』と言いながら、逆行している」(経産省関係者)

 小泉氏はそんな安倍政権の政策を10月14日の講演でこう批判した。

「国が支援してくれないと原発が成り立たないと、推進論者が言っているんですよ。国民の税金の支援がなかったら原発はもうやっていけない。そう白状したのも同じです」

 露骨だったのが、10月の内閣改造の人事だ。党内の数少ない脱原発・再エネ推進派とみられていた河野太郎衆院議員が行革相・国家公安委員長として入閣。同時に、歯に衣着せぬ言動で政府のエネルギー政策を批判してきた同氏のブログ「ごまめの歯ぎしり」が閲覧不能となり、リニューアルされたブログからは、以前の記述が削除された。

 もう一つ注目されたのが、国民的人気を誇る小泉進次郎氏をめぐる人事だ。安倍首相は進次郎氏を復興政務官から退かせ、自民党農林部会長という「雑巾がけポスト」に異動させた。

 進次郎氏は人事直前の9月末、東京都内の講演でエネルギー政策について「どう原発をやめていけるのかという方向性で考えていくべきだ」と、安倍首相の原発回帰路線に異を唱えたばかり。そんな進次郎氏を、事実上“干した”格好だ。

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