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二十七回忌を迎えた今も、人々の記憶に残る美空ひばりさん。
「おふくろは帰宅すると毎晩、寝ている僕の顔を見にきました。酔って帰ってきたある日、怪物マスクをかぶって覗き込んできた。目が覚めて逃げ回る僕を追いかけてくるんですよ。ふざけるのが好きな人でした」
加藤和也さん(43)は、母・ひばりさんとの幼少期の思い出をこう振り返る。
普段は「ふつうのお母さん」(和也さん)。舞台を降りれば、すっぴんに近いナチュラルメイク。遊園地の絶叫マシンが大好きで、たまの休みには和也さんを連れ、一緒に行列に並んだ。
一方、お客さんを喜ばせたい、という歌手・美空ひばりの思いは、実生活にも通じていた。自らの誕生日には自宅で大規模なパーティーを開いたが、「あの人、飲み物がないわ」などと言いながら、常に人の様子を気にして動き回っていたという。
「人が楽しんでいるのを見たい。だからいつも誰かを呼んでいました。寂しがりやなんです」
少年時代、ひばりさんが家にいる夜は、パジャマを着て果物をつまみながら、仮面ライダーやアニメの8ミリを見た。母と二人きりで過ごしたわずかなひとときは、今も和也さんの宝物だ。
「素顔を知っているのは息子である僕の特権。でも、みなさんに知ってほしい気もします」
※週刊朝日 2015年7月24日号