15年1月から相続税が「増税」される。相続税は、故人が残した財産すべてにかかるわけではなく、基礎控除があって、一定金額までは相続税がかからないようになっている。この控除が増税によって大幅に縮小されるのだ。では、都市部の地価が上昇するなか、どれくらいの広さがあると課税されるのか? 見ていくことにしよう。
東京国税局管内の路線価をみると、23区内(40地点)はすべて上昇した。特に、四谷、麻布、中野、麹町などの各税務署管内の最高路線価は6%以上の上昇率だ。
今回の調査でも、JR山手線内に位置する主要駅周辺では50平方メートル以内の宅地で評価額が3600万円になってしまう駅がずらっと並ぶ(下の表)。一戸建て住宅の大半に、相続税がかかるような状況だ。
最小面積が最も小さいのはJR中央線などが通る四ツ谷駅周辺だ。15平方メートルの土地で3600万円の評価額になってしまう。わずか3メートル×5メートルの土地に実際に住宅が建っているとは思えないが、それだけ周辺の地価が高いわけだ。
トップ30にはいずれも都心の一等地や、東京湾岸エリアなど人気の高い駅が含まれる。JR京浜東北線などが通る赤羽駅もトップ30入りしているが、
「都心までの交通アクセスなど立地条件がいいことから地価が高いのです」(スタイルアクトのコンサルタント堂坂朋代氏)
また、都心からほぼ同心円状に最小面積が広くなっていく。50平方メートル以下で課税される宅地は山手線周辺に集中するが、少し離れたところにあるのが東急東横線の田園調布駅の49平方メートル。さすが日本屈指の高級住宅地だ。
面積を51~100平方メートルにまで広げると、山手線の西側ではJR中央線の荻窪、吉祥寺、京王線の調布、小田急小田原線の下北沢、東急田園都市線の三軒茶屋、二子玉川、東急東横線の中目黒、自由が丘の各駅など、住みたい街として人気の高いエリアが入ってくる。
「相続税の基礎控除の縮小などによって新たに相続税が発生するかどうかは、環八通り(環状8号線)の内側か外側かが一つの目安になると考えています」(同社代表取締役の沖有人氏)