消費税10%へのカギを握る麻生太郎財務相 (c)朝日新聞社 @@写禁
消費税10%へのカギを握る麻生太郎財務相 (c)朝日新聞社 @@写禁
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 アベノミクスにより政府や日銀は「景気は上向いている」と楽観的な見方を示しているが、日本はいま、1997年4月に橋本龍太郎元首相が消費税率を3%から5%引き上げた後の消費増税不況と同じ道をたどりつつある。

 歴史の教訓から学べるのは、悲惨な末路である。橋本政権時代では、97年7月28日に2万575円だった日経平均株価は、8月に急降下する。日本中を驚かせたのが、9月11日に発表された4~6月のGDP速報値だ。マイナス11.2%(後にマイナス3.9%に改定)で、さすがに政府も景気の見通しを見直さざるをえなくなった。景気後退は金融機関にも影響を与え、11月には北海道拓殖銀行と山一証券が破綻。おりしもタイで始まったアジア通貨危機も重なり、11月14日には株価は1万5082円にまで下がってしまった。いわゆる「橋本不況」である。

 後に橋本元首相は、朝日新聞のインタビューで、

「消費税引き上げが国民心理に影響を与え、97年4-6月期の成長率の落ち込みは予測していた以上に大きかった」

 と回想し、経済企画庁(現在の内閣府)の見通しが甘かったことを認めている。

 その後は、坂道を転げ落ちるように悪い方向に進んでいく。12月には経済対策として2兆円のサラリーマン減税を決めたものの、景気が上向くことはなかった。翌98年7月の参院選で自民党は惨敗。橋本内閣は退陣を余儀なくされた。投開票日、橋本元首相は、会見場に押し寄せた記者やカメラマンの前で苦虫をかみつぶしたように「ちくしょう」とつぶやいた。

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