20~59歳と人生の盛りなのに、仕事なし、友達なし、未婚。寂しく、孤独な毎日を過ごす「SNEP(スネップ)」(孤立無業者)と呼ばれる人々の存在が今、注目されている。SNEP(Solitary Non-Employed Persons)は、ニート研究の第一人者、東京大学社会科学研究所の玄田有史教授が提唱した概念。玄田教授の調査によれば2011年の時点で、SNEPの人口はなんと約162万人。00年代を通して急増し、現在この数は20~59歳の総人口に対して、約2.5%を占める割合となっている。
玄田教授の著作『孤立無業(SNEP)』(日本経済出版社)には「特に1997年から98年を境に、中高年の男性の間で、就職活動をあきらめた人たちが大きく増え始めた」と記述されている。
「一度職を失った後、いい年をして就職試験に落ち続ければ、どんなに強い人だって自信をなくします。SNEPと聞いて、怠惰な人の自己責任だと思うのは間違いです。今時、SNEPは誰にでも起こりうる問題なのです」(中高年のひきこもりの問題を取材してきたフリーライター、高島昌俊氏)
SNEPがニートと大きく異なる点について、玄田教授もこう解説する。
「無業者を分類する際の切り口が異なります。無業者のうち、普段、知人や友人との交流がない人がSNEPに該当します。ニートの研究が若年無業者の貧困問題を浮かび上がらせたのに対して、SNEPは『孤立』が焦点です」
なぜ、玄田教授は孤立に注目したのか。