「五輪特需」に沸き立つニッポン。経済効果150兆円との巨額試算もハジかれるなか、こんな業界からも気勢が上がる。選手村で配布されるコンドーム業界だ。「2020年までに薄さ0.015ミリの壁を破る!」こんな宣言を本誌にブチ上げたのは、世界最薄「0.024ミリ」の製品を販売する相模ゴム工業(神奈川県厚木市)だ。2020年の開催までに「世界最薄記録」の更新を目指す。

 営業企画室の樋沢洋室長が熱く語る。

「日本の技術を、世界の皆さんにアピールできる絶好のチャンス。薄いコンドームを“体感”して頂きたい」

 同社は一般的なコンドームとは異なり、素材に特殊ポリウレタンを使用。通常のゴムと比べて3~5倍の強度があるため、「極薄」を可能にしている。主力製品「サガミオリジナル」は、ネット通販・楽天の売れ筋ランキングで1位の常連になるほどの人気商品だ。

 同社の製品が初めて五輪に採用されたのは1994年のリレハンメル冬季五輪。当時の薄さは世界平均の0.06ミリ。だが、2度目の98年の長野冬季五輪では0.03ミリを達成した。

 現在の主力製品は11年に発売された0.024ミリ。今年11月からは0.018ミリを発売する予定だ。

「スギ花粉は直径約0.03ミリ。すでにそれより薄い。ここからが非常に難しくなる」(樋沢さん)

 選手村のコンドーム配布は、92年のバルセロナ五輪から始まったという。回を重ねるごとに配布量は増え、10年のバンクーバー冬季五輪では約10万個を準備。12年のロンドン五輪は史上最多の約15万個を用意したが、開幕5日目で底をついた。

 配布するコンドームは、開催国で流通しているブランドの中から、国際オリンピック委員会(IOC)が決定する。

週刊朝日 2013年10月4日号