消費税率が10%になったら、一体いくらの負担増になるのか──。

 なかなか具体的な額を示さなかった野田内閣だが、9月に内閣官房社会保障改革担当室がまとめた数字が報じられた。世帯年収500万円の4人家族(会社員夫、専業主婦妻、子ども2人)で、年11万5千円の負担増。だが、これだけではない。

 年金、介護保険など社会保険料の見直しや、子ども手当から児童手当への移行、住民税年少扶養控除の廃止など、負担が増える要素は目白押し。その他のものも含めると、前出と同じ構成の家族で年間33万8千円も負担が増えることになる。

 茨城県に住む薬剤師の男性(46)は6月上旬、自治体から送られてきた住民税の税額通知書を見て、悲鳴を上げた。月8250円、年間で9万9千円も増額していた。ファイナンシャルプランナー(FP)の藤川太さんはこう説明する。

「住民税が増えたのは政府が『子ども手当』の導入と引きかえに、子どもがいる家庭の税金を優遇する措置、16歳未満の子どもの扶養控除を廃止したため」

 年収960万円以下なら子ども手当が児童手当に切り替わっても一見支給額に大差はないが、ダメージが大きいのは扶養控除が廃止された分だ。額は子ども1人につき月2750円、年間3万3千円にもなる。前出の男性には小学2年生と幼稚園に通う3人の子どもがいるので、年9万9千円もの負担増になった。

 今夏国会で消費増税法が成立する前に、すでに住民税や社会保険料が家計を直撃している。

AERA 2012年10月15日号