自公政権の復活によって、民主党が掲げていた課税強化の方針はどうなるのか。税理士法人レガシィ代表社員税理士の天野隆さんは、「所得の少ない人、資産の少ない人には消費増税の負担が重くのしかかるので、その人たちの理解を得るために、安倍政権になっても3党合意に沿って、相続税など資産課税は強化されると思います。そうなれば、資産家に対する特別な税金だった相続税は、大衆税化することになります」と話す。
今後は贈与税も課税対象額が引き上げられる見込み。そのため節税の基本的な知識と対策を学んで、いざという場合に備えておきたい。中でも贈与税対策に利用したいのが生前贈与。特に住宅に関しては、節税に効果的な贈与の仕方がある。
生前贈与で大きな節税効果が期待できるものに、「住宅取得等資金贈与の非課税特例」がある。両親や祖父母などから住宅購入資金などを援助してもらう際に、その贈与税が大幅に軽減されるという制度だ。2012年12月31日までに贈与を受ければ、省エネや耐震性の基準を満たす優良住宅であれば1500万円まで、一般住宅の場合は1千万円までの贈与が非課税になる。贈与税の非課税枠110万円と組み合わせれば、1610万円または1110万円まで非課税にできる。
相続コーディネーターの曽根恵子さんが解説する。「この特例は住宅の取得や増改築にしか使えませんが、新築だけでなく、築25年以内の耐火マンションなどにも適用されます。ただし、親が子どもに購入資金を贈与するだけではダメで、子が贈与を受けた翌年の3月15日までに住宅を取得し、実際に住み始めるのが基本です」。
面積の基準(登記簿上の床面積で50平方メートル以上240平方メートル以下)が設けられているので、一人暮らしの人が住むような小規模のマンションは、規定に達していないケースもある。マックス総合税理士法人の税理士・武石竜さんは、こんなケースを体験したことがあるという。
「新築マンションの販売チラシで52平方メートルになっていた部屋が、登記簿面積では49平方メートルだったので、特例が使えなかったということがありました。購入時には、よく確認しないと損することがあります」
※週刊朝日 2013年1月4・11日号