謎ばかりが残る「死」である。尼崎連続怪死事件で首謀者と目され、殺人容疑などで逮捕された角田美代子容疑者(64)が、兵庫県警本部の留置所で自殺しているのを発見されたのは、12月12日早朝のこと。仰向けの状態で長袖Tシャツの袖を首に結び、死因は窒息死だった。
美代子容疑者は、兵庫県警本部3階の留置場に身柄を収容されていた。
2011年11月、大江和子さん(当時66)に対する傷害致死容疑などで逮捕、起訴された美代子容疑者は、通常であれば拘置所に収容されるところ、「事件が大きくなると踏んで」(捜査関係者)本部内に留置されていたという。
県警は10月23日から特別要注意者として、1時間に4回の巡回を6回に増やして監視を強化したが、24時間カメラで監視できる独房ではなく、監視台の前の3人部屋に収容されたままだった。が、これにも“狙い”があったという。
「家族の逮捕については『私が悪い』などと責任を認めていたが、容疑や事件自体を認めたわけではなかった。一連の事件で、署名した供述調書は一通もない。雑居房に置いたのは、他の収容者から情報を得たり、考えを翻そうという期待もあった」(同)
贖罪の言葉もなく、事件の真相は闇に消えていった。
※週刊朝日 2013年1月4・11日号