早ければ2015年にも実施される相続税増税を前に、相続問題への関心が高まっている。相続は一般的に一部のお金持ちの問題と思われがちだが、実は財産が少ないケースの方が骨肉の争いになりやすい。

 10年度の司法統計年報によると、家庭裁判所への相続関係の相談件数は約18万件で、10年間で倍増。調停が成立したのは約8千件で、そのうち、相続財産が1千万円以下というのは31%もあった。

 財産が少ないのに、なぜもめるのか。預貯金などで多額の資産があればお金で解決できるが、「財産は一軒家だけ」などの場合は、簡単に分けられないからだ。となると、相続トラブルは誰にとっても他人事ではない。

 相続問題のほとんどは、子どもたち、つまりきょうだい間の争いになる。実際、どんなきょうだいがもめやすいのか。信頼できるきょうだいは誰なのか。アエラでは30~50代の、2~5人きょうだいの男女計600人にアンケートした。

 このうち、実際に親の遺産相続や財産分与に直面したことがあるという人は185人。その中で、きょうだい間でもめたと回答したのは12%だった。

 こう聞くと、さほど多くないような気がするかもしれないが、その後、関係が修復できたのは3分の1に過ぎない。

 親の介護問題でもめた場合は、過半数の57%がその後、関係を修復できている。介護問題は親が亡くなれば終わる。これに対して、相続トラブルは親が亡くなってから始まり、区切りがない。それが関係改善を難しくしている理由だろう。

AERA 2012年10月8日号