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もはや秋の季語になってしまった感のある「ノーベル文学賞」と「村上春樹 」氏(63)。 だが、今年も待望されながら、受賞はならなかった。いったい何が村上氏の受賞を阻んだのか。
「売れ過ぎていることが逆効果になっているんじゃないでしょうか。ノーベル賞には通俗的なものより、 純文学的なものが求められるんです」
作家で評論家の小谷野敦氏(49)は、村上氏の受賞にはいくつもの「壁」があると分析する。
村上氏が同賞の候補に名前が挙がり始めたのは、2006年。ノーベル賞への登竜門とされる、フランツ・カフカ賞を受賞したころからだ。そこから毎年、ブックメーカーが発表する予想順位で好位置をキープ、とりわけ今年の予想は断トツの1位だった。
文芸評論家で愛知淑徳大の清水良典教授(58)は、その人気ぶりも受賞を遠のかせていると言う。
「オッズで1位になっているし、名声は高い。そんな人気作家にいまさらノーベル財団のお金をあげる必要があるかという、やっかみも選考側にあったはず」
※週刊朝日 2012年10月26日号