今年が勝負の巨人・岩隈久志 (c)朝日新聞社
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 キャンプインまであと約1週間となり、注目のルーキーや新加入選手の一軍、二軍割り振りなどのニュースが多い時期となった。しかしその一方で、今年成績を残すことができなければ現役続行が難しい立場に置かれている選手も少なくない。そんな選手生命の岐路に立たされている、今季が正念場の“崖っぷち”選手を紹介する。

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 崖っぷちの大物選手と言えば、中日を退団して古巣西武に復帰した松坂大輔の名前がまず挙がるが、もう一人忘れてはいけないのが岩隈久志だろう。マリナーズでは2012年からの5年間で63勝という見事な成績を残したが、2017年は故障で0勝に終わり、翌2018年はメジャー昇格を果たすことができずに昨年巨人で日本球界復帰となった。しかし古傷である右肩の故障が長引き、二軍で実戦登板を果たしたのは8月下旬。2試合で打者7人に投げて無失点という記録を残したが、結局一軍に昇格することなくシーズンを終えた。

 オフには野球協約の減額制限を大きく上回る60%ダウンの年俸2000万円で契約を更改したが、まさにこれが最後通牒といえる条件であることは間違いないだろう。ただ、岩隈にとって追い風もある。昨年の勝ち頭である山口俊がアメリカに移籍し、菅野智之に次ぐ先発投手が手薄な状況となっているのだ。しっかり肩の状態を戻すことができれば、その実績を生かせる場面が出てくることも十分に考えられるだろう。

 同じ巨人では中島宏之も同様の立場に追い込まれている。オリックスを自由契約となり、昨年巨人に加入したものの、開幕から調子が一向に上がらず、わずか8安打、打率.148という成績に終わった。契約更改では岩隈以上に厳しい1億5000万円から87%減となる2000万円という条件での残留となった。

 ただ、こちらもわずかながら望みがないわけではない。阿部慎之助が引退したことでファースト兼代打要員というポストが空いたのだ。原辰徳監督も先日ファーストのレギュラー候補の一人として中島の名前を挙げている。往年の勝負強さを取り戻して、レギュラー争いに加わりたい。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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