「睡眠用うどん」「熟睡用たわし」「ただの畳」。
これらはすべて、頭のもみほぐし専門店「悟空のきもち」(本店・京都市)の商品だ。
ほとんどの人を約10分で“寝落ち”させるという「絶頂睡眠」の施術で話題の悟空のきもちは、国内4店舗のほか、アメリカでニューヨーク店を展開。国内では約3カ月先まで予約が埋まり、キャンセル待ちは約54万人に上るという人気ぶりだ。
改良前の「睡眠用たわし」と合わせて、実に6億円以上を売り上げた「熟睡用たわし」に続き発売された「睡眠用うどん」(税抜1万6800円)は、伊勢丹新宿店の協力を得て、運営会社であるゴールデンフィールドが企画・開発した「布団に対抗するうどん」(ゴールデンフィールドの担当者)。発売時点で約1万2000個を受注し、売上は2億円を超えた。現在も、追加生産が決まるたびに受注を伸ばしているという。
冗談みたいなネーミングだが、その実力のほどは? 19年11月、大阪市中央区にある悟空のきもち心斎橋店を訪れ、睡眠用うどんを見せてもらった。
なるほど、確かに縦8本、横2本の“めん”により、縦200センチ×横110センチサイズの寝具が構成されている。2種類の人工羽毛をブレンドした“めん”の表面はつるつるしていて、触るとうどんのもちもち感が再現されている。ちなみに“めん”は、1本ずつ取り外して家庭用洗濯機で洗える。
「めんの間から手足を出せるのが特徴です」
そう話すのは、同店のスタッフで、うどんの開発にも参画した岸本彩さん(34)。人は、手足から体内の熱を放出し、深部体温(体内の温度)を下げることで深く眠れるという。睡眠用うどんは、めんが連なったすき間構造により、寝ている間も最適な温度調節ができるのだ。冬は、うどんの上に1枚毛布を掛けるだけで、内部に暖かい空気がこもる。
基本は、掛け布団のようにめんをそろえる「掛けうどんモード」。横めんに付属のアタッチメントを1本追加して枕にすれば、めんに埋もれながら寝られる「エレガント包まれモード」だ。めんの間から足を出してめんの上に置き、むくみ対策をする「足まくらモード」、めんの間から出した手足でめんをホールドしながら眠れる、安心感たっぷりの「抱きまくらモード」など、ユーザーの好みによって、自由な寝姿が楽しめるのも特徴だ。