音楽活動も精力的なディーン・フジオカ (C)朝日新聞社
音楽活動も精力的なディーン・フジオカ (C)朝日新聞社

 最近イチオシの女優さんは、この秋に見つけた山田真歩さんだ。38歳。とても良い。

【画像】DEAN FUJIOKA監修の「ディーンタピオカ」がこれだ!

「シャーロック」(フジテレビ)に出演中だ。ディーン・フジオカ主演のドラマで、原作はコナン・ドイル。って、おいおい。ではあるのだが、ディーンさんは「モンテ・クリスト伯」とか「レ・ミゼラブル」とか、「だいぶ前から21世紀ですけど」と誰もが思う謎のシリーズ(フジテレビ)にずっと出ていて、まあ、「継続は力」だろうと、見てみたのだ。

 そうしたら案外おもしろくて、「シャーロック・ホームズ」は詳しくないけど「相棒」(テレビ朝日)に似ていると思い、熱心に見るようになった。で、心ひかれたのが、山田さん。事件解決の道筋が見えてくるとなぜかバイオリンを引くディーンさんは確かにカッコいいが、どうも心がときめかない。その点、山田さんは、少ない出番にもかかわらず存在感があるのだ。

 演じているのは、警視庁捜査一課の巡査部長・小暮クミコ。「相棒」で言うなら鑑識課員・米沢守こと六角精児さんだと思う。相棒ふたりの近くにいつもいるというわけではないが、毎回必ず登場し、いい味を出す。米沢は六角さんという役者を得て人気になり、スピンオフも作られた。山田さんの演技は、そんなことも思い起こさせる。

 ドラマを簡単に説明すると、ディーンさんは犯罪コンサルタント・誉獅子雄役。誉に仕事を依頼する捜査一課の警部の部下が、小暮巡査部長。なお、ホームズの「ホ=H」と「ム=M」から誉だとして、シャーロックはなぜ獅子雄? ネーミングの苦労を忍びつつも、つい疑問符。

 警部役は佐々木蔵之介さんで、背が高い。山田さんは小柄だ。2人は並んで登場することが多く、そのデコボコ感もキュート。小暮はメガネをかけ、いつも同じグレーのスーツを着ている。トータル仕事のできる女だという感じが伝わり、キュートさも合わせて「鑑識の米沢さん」に通じる。

 小暮の台詞はほぼ、警部への一言のみ。「いっつも、あの人の言いなりじゃないですか」とか「全然、自分で動きませんよね」とか。その皮肉めいた調子が好きだ。クセがあるけど仕事ができないわけではない、そういう男性上司の下で働く女子の正義感みたいなものが伝わってくる。「わかるわー」と思えて、ハマる。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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