渡良瀬川に沿って走るトロッコ列車「トロッコわたらせ渓谷号」(写真/PIXTA)
渡良瀬川に沿って走るトロッコ列車「トロッコわたらせ渓谷号」(写真/PIXTA)
黒煙を上げて力強く走る「SLパレオエクスプレス」(C)朝日新聞社
黒煙を上げて力強く走る「SLパレオエクスプレス」(C)朝日新聞社
芦ノ牧温泉駅の2代目名誉駅長「らぶ」(左)と施設長に就任した「ぴーち」(右)(C)朝日新聞社
芦ノ牧温泉駅の2代目名誉駅長「らぶ」(左)と施設長に就任した「ぴーち」(右)(C)朝日新聞社

 今年もふと気がつけば、秋風や虫の音が季節の移り変わりを告げている。そこで、これからの紅葉探訪に列車と合わせておススメしたい、首都圏の「紅葉絶景路線」を3つピックアップしてみた。

【芦ノ牧温泉駅の名誉猫駅長「らぶ」と猫施設長「ぴーち」】

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■渓谷美と紅葉が織りなす絶景!「トロッコわたらせ渓谷号」&「トロッコわっしー」(わたらせ渓谷鐵道)

 首都圏の紅葉絶景路線としてまずおすすめしたいのが、「わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線」だ。わたらせ渓谷線は桐生と間藤とを結ぶ44.1キロの非電化路線。全線が渡良瀬川に沿っており、渓谷美の楽しめる路線としても知られている。足尾銅山などの近代産業遺産探訪に訪れる人も多い。

 山岳風景と渓谷美の車窓は大間々以北のほぼ全線で展開。神戸~沢入間と原向~通銅間で渡良瀬川を渡るが、下り列車の場合、桐生~神戸間で進行右側、沢入~原向間で進行左側が渡良瀬川となる。沢入~原向間はとりわけ絶景で、花こう岩の散らばった河原と周囲の紅葉とのコントラストは一見の価値がある。

 また、桐生~間藤間の標高差はおよそ550メートルに及ぶため、紅葉への移り変わりが比較的ゆっくりと見られるのもわたらせ渓谷線の特徴といえるだろう。おおむね足尾周辺では10月下旬から紅葉がスタートし、麓の桐生付近では11月下旬ごろが見ごろとなる。

 このわたらせ渓谷線で運行されているのが「トロッコわたらせ渓谷号」と「トロッコわっしー」だ。ともにトロッコ風座席を持つ観光列車で、土休日を中心に運行されている(「トロッコわたらせ渓谷号」は12~3月は運休)。

「トロッコわたらせ渓谷号」は、DE10形ディーゼル機関車を先頭に吹き抜けのトコッロ車両と窓ガラスつき普通客車で運行。大間々~足尾間を1時間33~40分で結ぶ。

 トロッコ車両はテーブルつきベンチ席で、風を受けながら臨場感いっぱいの道行きが楽しめる。紅葉や渓谷美を満喫するなら、断然こちらがおすすめ。普通客車はJR東日本から購入した12系客車などを改造したものでボックス席が並ぶ。「トロッコわっしー」は気動車での運行で、吹き抜けのトロッコ車両と一般の普通車両の2両編成。こちらは桐生と間藤とを結ぶ全区間を1時間31~58分で辿ってゆく。

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蒸気機関車で楽しむ紅葉美