会見でボードを使って説明する吉本興業の岡本昭彦社長 (c)朝日新聞社
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 吉本興業の闇営業を巡る一連の騒動は、写真誌「フライデー」による第一報から2ヵ月近くがたとうとしているが、いまだに混迷を極めている。

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 そもそも現状で明らかになっている情報をもとにすれば、闇営業を仲介したとされる「カラテカ」の入江慎也を筆頭に、当該芸人たちが直営業という形で反社会的勢力と関係を持ち、そこに金銭の授受があったことが今回の騒動の本質であることは、今さら言うまでもないだろう。

 とくに、宮迫に関してはレギュラー冠番組を持つなど売れっ子“テレビタレント”として世間に対して大きな影響力を持ち、コンプライアンスには細心の注意を払わなければいけない立場。そのぶん収入面に関してはある程度恵まれており、若手芸人のように生活上、経済的に直営業に頼らざるを得ないといった側面も見受けられない。

 そのうえ、第一報を受けての同社による聞き取り調査の際、後輩芸人たちに対して口裏合わせを指示して嘘をついたとなれば、世間から厳しい批判を浴びても仕方がない。

 そうした中、業界内、とくに芸能人、裏方を問わずベテラン勢の中には宮迫に対して同情的な意見を口にする者もいる。

 ロンドンブーツ1号2号の田村亮と臨んだ謝罪会見の影響もあるだろうが、背景にはこれまで芸能界が歩んできた“歴史”もあるのだろう。

■興業の世界と反社

 興行の世界である芸能界は、かつて一般社会以上に反社会的勢力との接点があったことは知られている。

 実際に一昔前には芸人に限らず俳優、女優、歌手の中にも、暴力団の大物と深い親交を持ったり、恋愛を楽しんだり、密かに兄弟分の契りを交わしたりした者もいた。
 
 スマートフォンで簡単に写真や動画が撮れるいま、街を歩いていて突然記念撮影を求められて気軽に応じたところ、結果的に相手が反社の人間だったというケースも著名人ならあり得るシチュエーションだ。

 とはいえ、今回のケースのように「金銭の授受」があったか、なかったかが大きな線引きとなるだろう。

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