アニメ『のだめカンタービレ フィナーレ』の告知が増えていますね。1月のオンエアに向けて、これから宣伝も盛んになっていくことでしょう。
僕も先日、「週刊アスキー」の取材を受けてきました。
編集長との対談です。
開口一番「すごく意外なんですけど」と言われてしまいました。
「グレンラガン方向から考えても、新感線方向から考えても、なぜ、中島さんが『のだめ』なんですか」と。
まあ、確かにそうかもしれませんね。
実際、仕事を受ける経緯はほんとに偶然でしたし、最初に話が来た時は、「なぜ僕に?」と僕自身思いましたし。
仕事を受けた事情については、その時に話したので、記事で使われていれば「週刊アスキー」誌上で明かされることでしょう。そういえば、掲載号の発売がいつなのか把握もしていないぞ。
先日、原作コミックも見事なフィナーレを迎えました。
語り口の面白さはもちろんですが、ラストまで読んで改めて、芸術に立ち向かう人間の醜さと美しさを描いた素晴らしい作品だったと実感しました。
『スラムダンク』でバスケが人気になり『のだめ』でクラシックに興味を持つ若い層が増えた。
本当に面白いマンガは、ブームを作ります。
『のだめカンタービレ』もそういう傑作のうちのひとつだと思います。
今回の仕事は、その原作のよさをどれだけアニメに置き換えることが出来るかだと思っています。
僕がシリーズ構成をやるということで不安なファンもいるとは思いますが、千秋真一が指揮台に立っていきなり「弦が呼ぶ打が呼ぶ管が呼ぶ、指揮棒振れと俺を呼ぶ」とか「白と黒との五線譜に赤い血通すコンダクター、白目の黒王子千秋真一様たあ、俺のことだあ!」なんて見得は絶対に切りません。ご心配なく。第一、脚本は一本も書いてないし。
しかし、アニメよりも先に映画です。
映画『のだめカンタービレ最終楽章 前編』の完成披露試写会に今日行ってきたところです。
東京国際フォーラムのホールA、4000人ののだめファンがビッシリと入っています。
場内が期待に満ちている雰囲気が心地いい。
原作者の二ノ宮知子さんやアニメの監督の今千秋さんと久しぶりにお会いすることも出来ました。
二ノ宮さんと前にお会いしたのは『蛮幽鬼』を観に来て下さった時でした。芝居をとても気に入って下さったようだったのに、安心しました。
映画は、とても面白かったです。マンガの実写化ではこの『のだめカンタービレ』は相当うまくいっているんじゃないでしょうか。
ドラマの時も面白かったのですが、原作後半の舞台はヨーロッパ。テレビドラマのスケールではありません。
映画化することで、のだめヨーロッパ編が初めて実写化できた。
キャストもスタッフも、これまでの実績を踏まえて、より面白いものにしようという気合いに満ちていました。
のだめを演じるために生まれてきたような上野樹里さんの演技の奔放さ、指揮のシーンになると頬が落ちガリガリになる玉木宏さんを見ていると撮影の過酷さが手に取るようにわかります。普通のシーンと比べると、ほんとに顔が痩せてるんです。これも、見物の一つかも。
そして音楽の力。
劇場だからこその音の厚みは、テレビとは全く違います。
心地よい興奮に包まれて、2時間1分があっという間でした。
終わったあと挨拶した二ノ宮さんの笑顔に、「満足なさったんだな」と感じました。
僕自身「のだめファンでよかったな」とも「ささやかだけど、このプロジェクトに関われるのは幸せだな」と思いながら、でも「アニメも頑張らないとね」と今監督と話してホールをあとにしました。