こうした反対の声は無視され、政府は地方分権改革有識者会議で児童福祉法に基づく省令で定める学童保育の基準を、「従うべき基準」から「参酌すべき基準」に変更する方針を示し、来年の通常国会に児童福祉法改正案を提出する見込みだ。これを問題視した立憲民主党、国民民主党、日本共産党、自由党、社会民主党、無所属の会は12月10日、「学童保育の基準緩和の中止を求める要望書」を根本匠厚生労働大臣に提出した。

<121万人を超える児童が利用する学童保育は、子どもの命と安全、安心できる「生活の場」が保障されなければならないとして、(1)学童保育の質の低下、市町村間格差の拡大につながりかねない「参酌すべき基準」への変更の中止、(2)子ども達が安全で質の高い保育を受けることができるよう、学童指導員などの処遇を改善すること、(3)国の責任を明確にし、主な担い手である地方と十分協議をし、国の責任において必要な財源を持続的に確保すること>

 全国学童保育連絡協議会の佐藤愛子事務局次長も、「参酌化」に対して強く反対の意を述べる。

「放課後児童支援員という有資格者を原則2名以上配置することは、全国どの地域であっても子どもの生活を保障するために欠かせないもの。だからこそ、市町村が最低基準となる条例を定める際の『従うべき基準』として、児童福祉法に位置づけられたはず。これが『参酌すべき基準」に引き下げられてしまえば、自治体の考え方次第で、子どもたちと生活をともにするうえで必要な専門的な知識や技能を備えた『放課後児童支援員」をまったく配置しないことも起こり得る。ともすれば、資格のない大人がたった一人で子どもたちを保育することにもつながる。これでは、子どもたちに安全で安心できる『毎日の生活の場」を保障することはできません」

 厚生労働省「平成29年(2017年)放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」によれば、全国に放課後児童クラブは2万2573か所あり、約125万人の小学生が利用している(2017年5月1日時点)。一つの支援の単位当たりの放課後児童支援員などの数は、5人以上が最多の37.2%で、次いで3人(22.5%)、4人(20.6%)、2人(19.6%)。1人は0%だ。現状として、過半数が3人以上を配置している。2人ギリギリというのは約2割に過ぎない。

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先に学童指導員の労働環境の改善を