新プログラムを始めた関西外国語大学(撮影・松永卓也)
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 大学生のうちに海外のホテルでインターンシップ(就業体験)を経験し、将来は外資系ホテルの経営者に――。観光業界への就職を考える学生向けの新しい教育プログラムが、関西外国語大学(大阪府枚方市)で始まった。プログラムには、世界大手の統合型リゾート(IR)事業者が協力。観光業界のリーダーとなる人材の育成を目指している。
 
 プログラムは9月に始まり、2年生31人が参加。マーケティング、財政、組織行動論など、経営に必要な科目を1年かけておもに英語で学ぶ。その後、米国、香港など海外の提携大学に留学し、現地のホテルでインターンシップをする予定だ。
 
 プログラムに協力するのは、米ラスベガスなどにカジノを含むIRを展開する、MGMリゾーツ・インターナショナル。MGMは、今夏の「IR実施法」成立を受け大阪府や大阪市が誘致を目指す、人工島・夢洲(ゆめしま)でのIR開発に名乗りをあげている。飲食部門責任者のアリ・カストラティ氏は、

「われわれが提案しているIRが日本で実現すれば、数千人規模のマネジャーが必要になる。日本のIRでは日本人がマネジメントを担うべきで、将来マネジャーになれるような教育をサポートしていきたい」 

 と話す。MGMは、インターンシップを希望する学生を米などのIRで受け入れる方針だ。
 
 プログラムの狙いについて、同大のスティーブン・ザーカー教授は次のように話す。

「外資系ホテルの経営者は、『日本人でマネジャーになれる人材がいない』と口をそろえます。本学では卒業生の2割近くが観光業界に就職しますが、このプログラムを通じ、英語、異文化経験、業界知識の三つを身につけ、経営に携わる人材を送り出したい。そのために、IRなど産業界とも深く連携していきたいと考えています」
 
 大阪市は2025年国際博覧会(万博)の開催地に決まり、関西地域では外国人観光客のさらなる増加が見込まれる。外資系ホテルの未来の経営者を育てられるか。同大の取り組みに期待がかかる。

(文/鈴木顕)

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