■自由な校風の学校が人気

 埼玉では、中堅校が伸びている。

「19年にさいたま市立大宮国際中等教育、今年は川口市立と、特徴のある公立中高一貫校が開校しています。それらの公立一貫校との併願先として選ばれることを狙って、適性検査型の入試を導入している西武学園文理(狭山市)、浦和実業学園(さいたま市)などが志願者を増やしています」(森上教育研究所代表の森上展安さん)

 安田教育研究所の調べによると、東京メトロ副都心線や有楽町線など、複数の路線が乗り入れている東武東上線上の城北埼玉(川越市)、大妻嵐山(嵐山町)、星野学園(川越市)、西武台新座(新座市)なども志願者を伸ばしている。

 ここ数年続いた男子校人気だが、世田谷学園(世田谷区)、巣鴨(豊島区)は難関化し敬遠された。一方、午後入試を新設した獨協(文京区)が注目され、963人から1858人と2倍近い志願者を集めた。午後入試だけで615人集めている。

「獨協は伝統のある学校で、教育内容もいい。アクセスがよく、医学部のある大学の系列校というメリットもあります。それほど偏差値は高くありませんが、午後入試が注目されたことで改めて同校の良さを認識した受験生や保護者も多かったようです」(広野さん)
                                                            
 今年は明星学園(三鷹市)が297人から375人、女子美術大学付属(杉並区)が796人から926人と、自由な校風の学校が志願者を増やした。

「両校は一定のファンがいて、受験率(出願者のうち実際に受験する人の割合)も手続き率(合格者のうち入学手続きする人の割合)も、極めて高い学校です。一方で『特進クラス』などのコース制のある学校が減らしています。偏差値や大学進学実績だけではなく、校風にも目を向けるなど、志望校の選択の幅が広がっているように感じます」(安田さん)

(文/柿崎明子)

中学受験率コロナ禍でも微増 偏差値50以下の学校で志願者が増えた理由とは
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ライター 柿崎明子
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