昨年12月、日本中を沸かせた「はやぶさ2」のカプセル帰還など、最近、宇宙に関するニュースが続いている。それはなぜか、今後、注目される出来事は何かなど、宇宙開発の最前線について、国立天文台天文情報センター国際普及室長・縣秀彦さん監修の記事を紹介する。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」4月号の特集「宇宙開発 最前線」から。

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 昨年12月、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球の重力圏に帰還し、小惑星「リュウグウ」からのカプセルが送り届けられ、砂が入っていることが確認された。地下の砂は、太陽系が誕生したころのまま40億年以上眠っていたと考えられ、解析により、宇宙や生命の誕生の謎に迫る成果が期待される。

 先代の「はやぶさ」は、採取した砂の量がわずかで、途中で音信不通になるなど、トラブルが多かった。その教訓を生かした「はやぶさ2」はトラブルもなく、目標よりもずっと多いサンプルを持ち帰った。大成功だ。

 リュウグウのような小惑星は、サイズが小さいため内部で熱による活動が生じず、地球のような地殻変動が起きていない。だから、40億年以上前の姿がそのまま残っている可能性がある。もしも、採取した砂から生物の体を作るのに欠かせない有機物が見つかれば、生命の源が宇宙から来たとの説が裏づけられ、地球外にも生命が存在する可能性も広がる。解析が進めば重大な発表があるかもしれない。

●宇宙開発は“民間の時代 に

 地球を飛び出して、宇宙へ行きたい――人類はそんな夢を受け継ぎ、技術を進歩させて、一歩ずつ宇宙開発を進めてきた。その歴史は、当時の世界情勢などとも密接に関係していて、大きく三つの時代に分けられる。

 まずは「米ソ競争の時代」だ。宇宙開発は、第2次世界大戦後、冷戦状態にあったアメリカとソ連(現在のロシアなど)が軍事目的で激しく競い合って急速に発展。」初の人工衛星、人類初の宇宙飛行、月への探査機の着陸、有人月探査などが相次いで実現していった。

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AERA編集部
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