中学入試といえば、2科目(国・算)または4科目(国・算・社・理)型のテストが定番でしたが、近年は教科ごとの知識を問うだけではない、ひと味違う入試を実施する私立中学が増えています。今年首都圏で、こうした「新タイプ」の入試を導入した私立中学は150校を超えました。どんな入試が行われたのでしょうか。また、その狙いとはどんなことなのでしょうか。
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■多様な力を測るために導入される「新タイプ入試」
首都圏模試センターによると、今年、首都圏でいわゆる「新タイプ」の入試を行った私立中学は、昨年よりも3校増え152校。コロナ禍の影響で増加率は鈍化したが、それでも依然増え続けている。新タイプ入試とは、国・算・社・理の教科ではなく、公立中高一貫校で行っている「適性検査型」をはじめとして、「総合型」「思考力型」「グループワーク型」「作文・小論文型」「自己アピール(プレゼンテーション)型」など、各校がそれぞれの名称で実施している。レゴブロックを取り入れたりプレゼンをしたりと、内容も多様化しているが、共通して言えるのは、机上の筆記だけにとどまらない試験内容になっているということだ。
新タイプ入試が増加した背景を、首都圏模試センター取締役教育研究所長の北一成さんはこう説明する。
「社会が要求する力が変化しています。多様な価値観を持ち、いろいろな人と協働・共創しながら新しいものを生み出す能力が必要とされています。それに伴い、受験にも知識量ではなく、思考力や表現力、コミュニケーション力が求められるようになってきました。そういった能力を測る選抜方法として、新タイプの入試を取り入れているのです」
今年新しく登場したのが、藤村女子(東京都武蔵野市)の「ナゾ解き入試」だ。謎解き能力検定(謎検)やリアル脱出ゲームなどを行っている企業SCRAPと協力し、「謎検型」と「脱出ゲーム型」の2本立てで実施。出題される「謎」は国・算・社・理の知識がベースとなっており、そこからひらめき、発想力を駆使して謎を解いていく。「脱出ゲーム型」はチームで取り組むグループワーク形式になっている。
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