「服装は自分の内面を表します。自分でTPOに合わせて服装を考える、これも教育の一環です。どんな色を選ぶかを通して、色彩感覚を育てるというねらいもあります。自由ならば何でもいい、というわけではありません。勉強にふさわしいものを自分で考えて選ぶということが大切です。また、スカートのみというのは、ズボンは(当時のアメリカでは)作業服なので勉強にふさわしいものではない、という女性宣教師の考え方によるものです」
通学服としてなにがふさわしいかは、生徒会が毎年、生徒総会を開いて確認し、細かな修正を行う。たとえば、ノースリーブ、タンクトップのような露出の多い服装は認められていない。スカート丈の長さはどのぐらいがいいか、などを生徒たちがポスターに提示して訴えたこともある。
女子高校生たちは服装の流行に無関心ではいられない。一方、保護者からすれば自由と言ってもなにを着せたらいいのかわからないことがある。
「学校に聞きづらい場合、中学受験塾に問い合わせるようです。立教女学院はチェックのスカートという話が伝わり、そうなると似たような、「なんちゃって制服」になってしまいます。でも、本校の方針をよく理解し、自由な組み合わせをする生徒もおり、学校も個性が発揮できる服装は望ましいと考えています。いまは安価でも品質の良い服がたくさん出ているので、それを上手に着こなしてほしいと思っています」
「制服が自由だと派手になったりしませんか」と質問されることもあるが、「そのようなことはありません」と答えている。生徒、保護者が「自由」な校風をよく理解しているからだろう。
「『自由』は、立教女学院生にとって永遠のテーマです。精神的な自由を尊び、押し付けられた規則ではなく自分たちで考える。通学服を選ぶときも『自由と責任』そして『自由と規律』を意識してもらえたらと考えています」
(教育ジャーナリスト・小林哲夫)
小林哲夫