地球温暖化は世界が共通して取り組む課題だ。温暖化防止のため、日本は2030年度の温室効果ガス排出を13年度に比べて46%削減するという新たな目標を掲げた。どうやって実現すればいいのだろうか。私たちが日常でも取り組めることはないのだろうか。小中学生向け月刊誌「ジュニアエラ」7月号では、この問題について朝日新聞編集委員が解説した。

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 菅義偉首相は4月、アメリカのバイデン大統領が主催した気候変動サミットで、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの2030年度の排出(30年目標)を、13年度に比べて46%削減すると表明した。

 地球温暖化対策の国際ルールパリ協定によって、世界は産業革命前からの平均気温の上昇を1・5度に抑える方向に向かっている。そのためには、世界の30年のCO2排出量を、10年に比べて45%減らし、50年に「実質ゼロ」にする必要があると、科学者は指摘している。30年目標は、日本を含む120カ国・地域以上が表明した「実質ゼロ」を達成できるかどうかを占う試金石になる。

 日本の30年目標「46%減(13年比)」は、10年比で見ると「42%減」になるので必要量にやや足りない。10年比に換算すると、アメリカの「50~52%減(05年比)」は「47~49%減」、欧州連合(EU)の「55%減(1990年比)」は「47%減」となるので、日本よりも高い目標といえる。途上国には、温室効果ガスをあまり排出していないのに温暖化によって深刻な影響を受けるとして、「先進国はもっと減らすべきだ」という意見が強い。

 日本ではこれまで、経済産業省がエネルギー基本計画を決め、それを基に温暖化対策が進められてきた。行政主導(または経済産業省主導)だった。だが、今回は、科学的に必要な数値が先に示され、政治主導で削減目標が決められた。これは、アメリカが、温暖化対策に後ろ向きだったトランプ政権から、前向きなバイデン政権に変わったことが大きい。

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石井徹
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