東京2020オリンピックのボート競技種目、男子シングルスカルに、NTT東日本所属の荒川龍太選手が代表として出場する。

NTT東日本漕艇部艇庫で練習に励む荒川選手
NTT東日本漕艇部艇庫で練習に励む荒川選手

 荒川選手は1994年神奈川県横浜市生まれ。2013年、神奈川県屈指の進学校・聖光学院高校を卒業し、一橋大法学部に進学した。中学高校時代はバスケットボール部で活躍し、大学に入ってからボートを始めている。

 荒川選手は東京五輪アジア・オセアニア大陸予選で優勝するなど、国内外の大きな大会で好記録を出し続け、オリンピック代表選考において世界最高水準記録をもとに比較、選考が行われた結果、日本代表の座を勝ちとった。男子シングルスカル種目では25年ぶりのオリンピック出場となった。

 なぜ、ボートだったのだろうか。荒川選手に話をうかがうため、埼玉県戸田市のNTT東日本漕艇部艇庫をたずねた。

「一橋大に入ったころ、体育会バスケットボール部かバスケットボールのサークルか、どちらに入ろうか悩んでいたとき、ボート部(端艇部)の勧誘につかまりました。部のブースで説明を受け、ボート部のPVを観たのですが、これがかっこいい映像で、感情に訴えかけてくるものがたくさんあったのです。感動で押し切られる内容で、これならできると思った。そして大学日本一を狙えるというところに大きな魅力を感じ、やる気になりました」

 聖光学院に通っていたころ、バスケットボール部は大学受験のため2年の冬に引退した。一橋大端艇部に入部して本格的に身体を動かすまで、1年以上のブランクがあった。

「入部当初はあまり自信がなかったのですが、深いことを何も考えず練習に取り組みました。1年次は国立キャンパスで走ったり、腕立て伏せをしたり、体力づくりの基礎練習を繰り返し、週末などに戸田のボート練習場でボートに乗ります。部員がたくさんいるのでの競争は厳しく、練習はきつかった。はじめは下手くそだったけれど、だんだん形になっていく。それが楽しかったですね」

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小林哲夫
教育ジャーナリスト 小林哲夫

1995年より『大学ランキング』の編集者。『筑駒の研究』(河出新書)、『学校制服とは何か その歴史と思想』 (朝日新書)、『女子学生はどう闘ってきたのか』(サイゾー)、『旧制第一中学の面目』(NHK出版新書)、『東大合格高校盛衰史』(光文社新書)、『早慶MARCH大激変 「大学序列」の最前線』(朝日新書)など、教育・社会問題についての著書多数。

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